4.不良少年のうた

記念すべきデビュー曲。
しかし、デビュー曲・シングルが5拍子の曲、というのも相当な幕開けだ。
後に土屋昌巳とのリズムの実験的なコラボを経て、5拍子というお題目としては「Hell Inn」や「Violet Fizz」に結実するが、その2曲ほど5拍子を使いこなせてはいない。
しかし、おそらくはベンジーが歌メロを考えた時点でこのリズムだったはずで、サビのメロディーの自然さは彼の天然のリズム感の柔軟さを思い知らされる。


今この曲を聴くと、正直もどかしさがある。(後年の3人ならばもっと生きたアレンジ、演奏を出来たのでは?)
それを解消させてくれた『The Six』収録ヴァージョンであったが、そちらから失われていたのはこの不穏さと緊張感であった。
80年代のノワール映画に出てくるような夜の裏道のようなムードがこの録音にはある。
そういった意味で、BJCとしては珍しく未熟さが楽曲の価値を高めている一曲である。


この曲でデビューしてしまったから、という訳ではないだろうが、不良、というキーワードはBJCにつきものになる。
それは本人達より、スタッフの打ち出し方であったり、ファンの幻想であったりに根ざしていると思う。
しかし、9年後、彼ら自身がラスト・アルバムに「不良の森」という曲を収録することで、その付加されたキーワードに落とし前をつけたといえる。