8.あてのない世界

後のベンジーの作風からは窺いにくくなってしまった、少し演歌チックな曲である。
純粋な不良性と、独特のニヒリズムの印象がある初期BJCの後者のイメージ部分を拡張させたような曲であり、その主題は次の「狂った朝日」とも共通しており、この2曲は兄弟のような印象がある(1stの中でも目立たない兄弟…)。


この曲でよく取り上げられる部分は「Five Years」という具体的な曲名を歌詞に盛り込んでいるところだが、ベンジーにはDavid Bowieの影響が幾分見受けられる。
「Rebel Rebel」をカヴァーという例を出すまでも無く、特にBJC解散後の曲にグラムロック臭がするものがあったり、そもそも歌声がBowieを意識している部分があるだろう(昔何かの雑誌で、「姉に声がボウイに似ているって言われた」って言っていたような…)。
少年性と残酷な歪み、そして色気を兼ね備えている点で似ていると思うのだが…
まあ、それは戯言としても、ここで「Five Years」を引用するのも、BJCのニヒルなイメージに一役買っているだろう。
その「Five Years」をアップデートしたような傑作「悪い人たち」を生むのはもう少し先の話。