春の囁き/豊田四郎


この映画は以前一度フィルムセンターで観ました。
岡田茉莉子三國連太郎主演にのせられて・・・それがご両人はあくまでゲスト・スター(本作は東京映画第一回作品であるからして)、主役はクレジットに(青春スター)、と注意書きされる鈴木孝次、遠山幸子の二人。
おそらく公開当時も同様に“だまされた”人が沢山いたでしょう。
基本的に思春期の青年がなんだか優柔不断で、恋人が翻弄されて、って感じの映画。
木綿のハンカチーフ」のような、青年が学生活動や哲学なんかにかぶれて、恋人を顧みなくなってゆく、まあ青春映画ですね。
さらなる青春スターが久保明、青山京子で補充されている。
この二人は「潮騒」や3年後の豊田作品「麦笛」で主演している人気コンビになる。
青山京子は長澤まさみに顔が似ている。
一方、鈴木・遠山の二人は人気者になれたのでしょうか?
この映画では、ちょっと存在感が希薄な印象が拭えない。


ちなみに本作で「そうです、私はアプレです」と言い放った岡田茉莉子に与えられた映画上の命題と、現代女性史が彼女の存在を避けて通ることが出来ない根拠のようなものが浮上してくるのですが…難しいし長くなるのでまたいずれ。