北京ヴァイオリン/チェン・カイコー


チャン・イーモウが得意としそうな小市民感動小話だが、彼のような性的屈折・執着*1や、善悪の対比をはっきりとさせずに曖昧なまま、物語を進める。
チェン・カイコー自身がちょっと嫌味なセレブ音楽教師を嬉々として演じる。
また、主人公の少年と仲良くなる近所のちょっと怪しいお姉さん役のチェン・ホンは、チェン・カイコーの嫁。
本作のお父さんの滑稽さ、こういっちゃ悪いが、中国人のイメージってこんな感じだなー。
あと、見物は撮影中にどんどん背が伸びていく主人公の少年タン・ユンの成長振り、素朴すぎる演技、素晴らしすぎるヴァイオリンの腕前!

*1:チャン・イーモウの場合、例えば「至福のとき」は盲目の少女を下着姿でうろうろさせたり、「秋菊の物語」では主人公たるコン・リーが夫の股間を蹴られた事件を解決するために異様な行動力を発揮するという設定など、感動系の物語でも妙なフェティッシュが紛れているように思う