地獄変/豊田四郎


豊田晩年の力作。芥川龍之介原作、音楽は息子の芥川也寸志
高峰秀子曰く三年後の「恍惚の人」の時には病気でほとんど現場に居なかったらしい。なのでこの作品に豊田四郎がどの程度深く関わっているのか判らないが、強烈な作品だし遺作と勘違いしそうな気迫。
あらゆる映画監督がこのような映画を一度は撮ってみたいのではないかと思うような映画。で、そういうのを沢山撮ってしまったのが黒澤だったのだけど。
前半は装置の貧弱さに皆クロサワのようにはいかないか、、などと雑念入ったが、後半怒涛の大味の展開に、さほど細かい事も気にならなくなる。
赤い照明、多重露出、スプリット・スクリーン、炎のモンタージュ仲代達矢中村錦之助のこってり芝居に効果を与え、狂気に堕ちてゆく者達を地獄におくる。
豊田の作風に合っていたかは別として、見応えはある。