からっ風野郎/増村保造


三島由紀夫若尾文子が共演している映画がある、と知って忘れぬうちに見てみた。
これが凄い!
っていうか、映画スター・三島がすごい!
かつてかっこつけすぎてかっこ悪いを通り越してかっこいいのがかっこいい(うろ覚え)みたいなことを言っていたのは横山剣だが、本作にはそんな、あらゆる概念を超越しすぎてもはや「かっこいい」としか言えない状態に至ってる三島センセが存在する。


素肌に革ジャン引っ掛けて〜を地でゆく三島!
主題歌を作詞・歌唱する三島*1
初登場シーンが当然のように上半身裸の三島!
「それでも人間?」と聞かれて「俺はやくざさ」と答える三島!
児童公園で若尾様と遊ぶ三島!
無理やり唇を奪おうとする三島!
ランドセルを背負った少女をおんぶする三島!
ドメスティック・ヴァイオレンス!三島!
白いジャケットを着こなす三島!
子供用品売り場で撃たれる三島!
エスカレーターで絶命する三島!


内容はやくざものが堅気の女と恋に落ち、という、まぁよくあるもの。
しかし、この時期の増村映画特有のグルーヴであっという間に魅せきる。
若尾文子の登場シーンは少ないが、何故か緑に統一したファッションで強い印象を残す。
三島に殴られながら「殺しなさいよ」と凄む様は圧巻。素敵。
あんまりにも強烈な映画であったが、トンデモとまで至ってないのは増村のバランス感覚と若尾文子志村喬船越英二のサポートの成果であろう。

*1:残念ながら劇中では聞けない