ミリオンズ/ダニー・ボイル


ダニー・ボイルなんてトレスポの一発屋で、しかもトレスポが私には退屈以外の何者でもない印象で、そもそも薬中が集まってわいわいがやがやみたいな映画は好きじゃないし、映像の斬新さみたいなのも薬やってる人に言わせれば「ああいう感じの時もある」らしいから発明というより再現であったようだし、「パーフェクト・デイ」使いやがって、とかいう個人的な恨みもあったから、もう関わりあうことなんて無いな、と思ってたらヴィルジニー・ルドワイヤンがディカプリオの「ザ・ビーチ」に出てるということでまた観たらこれが本当に楽しめなくて、今度こそもう関わらないだろうと思っていて、そのあとホラーとかに行って益々私と無関係になって良かったわい、と思っていたら、今度は子供映画だそうで予告編やチラシ見る限り面白そうだし、空からお金が降ってくるなんて話、興味でない訳ないし、チケット貰ったしで結局見に行ったら、主役の男の子が可愛いなんて思いながらボーっと見てる分にはお馴染みの部屋を真上から撮るアングルや列車に対する異様な執着心なんかも今までと違う印象を与えて、随分と楽しげに撮っている、こういう転向ならいいな、なんて思いながら見てたら、次第に主人公の子の聖人マニア振りや慈善傾向が鼻についてきて、兄の方の「おかねのつかいかたのわるいれい」みたいな方が話まとめやすいだろうな、なんて余計なことを考えていたら、宗教的信心を描きたいのか現実世界における家族関係や金銭問題や善悪の概念やらを描きたいのか判らなくなってきて、恐い人とか出てきてしかもさほど盛り上げずにあっさり消え、最後の奇跡もお金を焼いたことで出てくるのはどうかと思ったり、そうそう、現実の過酷さを描きたいのか夢想を薦めているのか本気で混乱しはじめ、これはキリ教の物の考え方だなー、だからノれないのか、私のような不信心なものにとって善意をおっぴろげるのはどうも心地よくないもんなー、なんて思ってしまって、ってことは私は子供がいてもこの映画は個人的に見せないなーなんて思ってしまって、ってことはやはりダニー・ボイルという人の作品は私と親密な関係を築くに至らないな、と思った次第です。