フジファブリック/FAB FOX


「アラモード」をたまに聴いていたが、相当面白いバンドになっていたのであった。
ボウイや民生やフィッシュマンズミスチルブランキーナンバガくるりや他にももっといるが彼らは特徴ある音楽性で登場し、それを磨き上げたことで日本ロックのメジャー・マイナーに関わらずある種の軸というか形式を打ち立てた、と。有象無象の新人たちの音楽はそういった立役者の手法の上に成り立っていることが多く、そういうのはよっぽどじゃないと面白くないが、未だにブランキーのまんまのバンドが出てきたり、ベンジーが同じような曲ばかり作っていたりするのは、その手法の重さなのだが、それは別として。
このフジファブリックにもそういった手法の魔の手が全く及んでいないとは言わない。
例えばよく言われるようにキーボードはドアーズの様式であるし、和音感覚はナンバガ以降といえそうな歪さがあるし、器楽的なプログレバンドの引用もあろう。
しかし、そういったことを指摘するよりも、彼らがこのまま活動を続け音楽を深化させていけば彼らなりの手法を生み出していくのでは?と考えるほうが建設的だ。
どんな変態的な音楽が展開していても、どんな歌詞でも、歌唱は朴訥として無表情だ。
歌の代わりにギターソロが妙にサスペンスフルなのも面白い。
歌詞に押し付けが無いのも、語感重視なのも、青くないのも、素直じゃないのも、よい。
こんな音楽をやる次世代の若者が一杯出てきたら面白いじゃないか?


SMA所属なのに東芝EMIからCD出しているのはどういうことかわからないが、とりあえずバックは強い。
「虹」みたいな大衆を騙してしまいそうな曲も書けるのだから、何かの拍子で大ヒットを飛ばしかねない。
今後が楽しみ、ってことで。まだまだいけるはず。