雪国/豊田四郎


ほんと、やばいなぁ、この岸さん。
声が、やばい。聞き流せない。
「イヤッ」を連呼する岸さん、同性から嫌われかねない甘え声。
池部良と関係してしまった翌朝の着物の着崩れの艶っぽさ。
池部良の前髪の乱れも、色っぽい。


小津が「東京暮色」でも岸恵子を使おうとしていたのは有名な話だが、あれのヒロインが岸さんであったら、かなり違う映画になっただろう。
「早春」一作でしか起用出来なかったのに、しかもヒロインでなかったのに、小津は岸恵子を高く評価していた、と、笠智衆の著作にあった気がする。
この映画を観て、初めてこの方の素晴らしさ(というより、もはや凄まじさ)を実感。