欲望/篠原哲雄


あまりに個人的な色々を刺激されてしまい、あまり冷静に語ることが出来そうにない。


官能的な表現が多いとは聞いていたが、予想以上に濃厚であった。
しかし、どんなちょっとしたラブシーンでもはじまると多少身構えると思うが、本作の本当に濃厚なラブシーンは何故か平常心で、日常の延長として見れる。
演者の肉体が魅力的じゃないなんて話ではありません。
否、板谷由夏村上淳大森南朋も美しくて思い出しただけで動悸が上がってしまうくらい魅力的だから。
それなら何故平常心だったのか。説明が難しい。
ここは文章化しないでおこうか。
全裸でグレープフルーツを食べるシーンとか、リゾート地のホテルの窓際に全裸で立つショット、その後の流れ、とかに違和感が無い、と思える人はわかってくれるかと。
篠原哲雄はオムニバス映画「female」の「桃」でハセキョーに抑圧された官能を、野村恵里に直接的な演出をつけていたが、あれは本作に向けた習作だったのではないか?
果実や木漏れ日に官能を求める点でこの二作は通じ合っている。


自ら死をもって欲望を終結させるから、三島なのだろうか。
何か「豊饒の海」4部作を読んでないと全部は判らないよ、みたいな感じが癪ではあるけど。
決して短い映画ではないが、もっとじっくり時間をかけて見たいという気もする。
そうすれば沖縄へ行った後等の急なテンションの落差により自然に入り込めたかもしれない。
知性で肉体を覆おうとする男達と、肉体の欲求に抵抗出来ない女達。
その中で知性と母性と衝動性と残酷さを兼ね備えた類子というヒロインが、実に魅力的であった。


それにしても布袋の音楽がなー、ネタとしか思えん。高岡早紀出演してるから。