ロード・オブ・ドッグタウン/キャサリン・ハードウィッグ


昨日の雪辱戦に相応しい、明快な青春映画。
それ以上でも以下でもない。
いつの間にか*1揃った仲間が、楽しいという単純な衝動から一丸となって目標にぶち当たり、そのプロセスで各人の思いにズレが生じ、仲間は幾らかの犠牲や負傷者を出しながらいつしか過去のものとなり、懐古趣味でない美しい再会を経て、現在の各人の生活に続く、そんな、誰にだって身に覚えのあるだろう青春の物語。
1970年代半ばのアメリカン・ドリームについての映画。
だから、スケートボード自体に特に興味のない私も楽しく観れるし、満足出来る。


たまたまドキュメンタリー映画「Dogtown&Z-Boys」をバウスの爆音サーフで観ていたから、この映画は気になっていた。Dogtown & Z-Boys [DVD] [Import]
かなり本気でドッグタウンを再現しているのに驚く。
脚本はステイシー・ペラルタ本人が担当、その他にも製作過程に多くの仲間内が関係しているらしい。
そういう身内映画は世界が狭くなりすぎ、ぼろがでることもままあるが、本作はドキュメンタリーが補完することで回避、もし本作を観て納得いかなかった、よく判らなかったという方は「Dogtown&Z-Boys」を観て欲しい。
ただ楽しさを求めて、クールを求めて前代未聞の技術を生み出していく彼らに、既成概念をぶち壊してやろう、などという精神性は無かった*2
だから純粋に業界を動かしたが、簡単にビジネスに取り込まれた。
この映画の中で最後までクールだったジェイ・アダムスは現在保護観察中の本物のチンピラだ。いい話だ。


音楽は1970年代の西海岸ということで、基本ハードロック。
今のボード文化の音楽とは全く違う、例えばサバスやパープルやTレックスやらが流れる。
シネマライズは好きな劇場なんだけど音が小さい、もしくは音響が悪いんじゃなかろうか?
バウスにて爆音で再観したい。
オリジナル・スコアはDEVOのマーク・マザーズバー。
DEVOの「モンゴロイド」の他にも、時の流れとともにハードコア・パンクなんかも流れ、聴く音楽を頭で差別しない、当時のアメリカの若者の素敵なリスナー生活も窺える。


あと最後にこれ書かないと気がすまない。
ジェイ役のエミール・ハーシュ君、痩せたジャック・ブラックって感じ!!

*1:この映画では本当にいつの間にか仲間が集まっていて、というか、映画開始早々既にチームは全員揃っていて、そういうところも面倒くさくなくていいなーと思う。

*2:いっつも思うけど、「ぶっ壊してやろう」とか「世界を変えてやる」とかの野心よりも、単純に「面白れー!」とか言って滅茶苦茶やってる奴が何かをぶっ壊したり、世界を変えたりするんじゃないか?