ブラザーズ・グリム/テリー・ギリアム


待ってた。「ラスベガス」が7年前って…高校生だったもんなー。
待ってたんなら早く観に行けばいいものの、バタバタしてるうちに公開終了、しかし有楽町シネカノンで私の嫌いな某監督の関わってる某作品が大コケしたらしく、即番組切り替えで復活したので、見てきた。


グリム兄弟といってもそれに着想を得たという感じで、どこまでもテリー・ギリアムな映画。
私の最愛のギリアム作品「バロン」同様、ホラがマコトになってしまう世界の冒険映画。
そして他のギリアム作品同様、左翼になることを望まなくとも、左翼にカテゴライズされてしまう独立主義者の映画でもある。
でたらめに好き放題しながらも必死に生きているのに、好き放題故に危険視される者の映画。
私は「ラスベガス」もいまひとつで、何故なら滅茶苦茶加減がエンタテイメントに結実していないと思ったからで、「バンデッドQ」「バロン」の面白さに比べると、閉じてるというか、自家中毒というか、そもそもクスリっぽい映画はあまり好きじゃないのだけれど。
なんか、久々に子供時代に沢山観たような映画を観た!って感じ。
語り口と冒険がね。
なかなか懐かしいというか、久しぶり。
ってことは、この語り口じゃ、イマドキの子供はかったるく感じるのかしら?


占領軍であるフランス軍に文化的に負い目を感じているドイツ、という中から生まれてきたのがグリム童話で、基本的には民間伝承の物語とのこと。
この映画がどことなく「もののけ姫」を彷彿とさせる理由は簡単で、キリスト教以前の自然崇拝、俗の信仰を主題にしているから。
キリスト教ナイズされた西洋文化(という言い方もおかしいけど)のアンチテーゼとして、世俗の信仰が復活している、この映画はそのように描かれている。
モンティ・パイソン時代から徹底してヨーロッパ的なるものを茶化してきたギリアムは何も信じちゃいないんだろう。
自分を信じるので沢山だ、て感じがどの作品からも窺える。


赤頭巾ちゃんやヘンゼルとグレーテル等のビジュアルにあまりにときめいてしまったが故に、少女の空想と現実を描くらしい次作「Tideland」にも期待。
思えば、私の人生に「バロン」のサラ・ポーリーって物凄く影響してそうだな。。。