綴り字のシーズン/スコット・マクギー、デイヴィッド・シーゲル


軽やかなホームドラマを期待する者を突き放すような、シリアスな映画だった。
簡単に言って宗教映画なのである。
リチャード・ギアの信仰が反映されているのかは知らない。
ただ、家庭崩壊というベタなテーマを宗教を軸に描いているので、それが日本人にはちょっと分かりづらいかもしれない。
ジュリエット・ビノシュがトラウマに悩む妻を演じているが、この件が今ひとつ判りにくい。
彼女が結婚によってカトリックからユダヤ教カバラに改宗したのがポイントになると思うのだが。
さらに息子マックス・ミンゲラ(アンソニー・ミンゲラの息子)が父への反抗から*1、ヒンズーに傾倒してゆく。
で、全ては影で進行していて、娘フローラ・クロスがスペリングに驚異的な才能を示し、ギアが娘の教育に没頭しだすことで一気に表出する。
私がこの映画に関して事前に興味を持ったのはスペリング・コンテストに関してだったのだが、素材として通り過ぎる、という程度の扱いだった。
「チャレンジ・キッズ」でも見たほうがよかったか?
ギアの言葉に対する信仰と、言葉は表面上のものでしかないとするビノシュの行き違いは面白いものの、フローラがエクソシスト状態になるのはどういうことか?
ちなみにビノシュはガラスや鏡など光るものを集めるが、これらも原始から信仰の対象、もしくは道具として使われていたものだ。

*1:といっていいだろう、あんまりにもケイト・ボスワースとの関係が描かれなさすぎだから