エリ・エリ・レマ・サバクタニ/青山真治


爆音で上映することで完結している映画だから地方興行とかどうなるんだろうか。
自分はシネセゾン渋谷で観たが、バウス並の爆音。
で、爆音上映シリーズはゴダール作品が一番ノイズ的であるように、一応旋律のある音楽が中心にある映画が多かったので、本作のノイズ地獄はかなり体力を奪われる。
体調の悪い方、心臓の悪い方、ノイズが苦手な方は遠慮した方がいいかもしれない。
で、冒頭の汚れた海の波打ち際の爆音は「ステップ・イントゥ・リキッド」を、浅野と中原が自転車に乗っている様は「勝手に逃げろ/人生」を、二人が砂地を並んでさすらう様は「ジェリー」を思い起こさせ、一本で爆音上映作品を統括している印象。
計画犯かは知らないですが。
浅野忠信がますます世捨て人のようになってきたこと、中原昌也がキモかわいいとでも形容してしまいそうな魅力を放っていたこと、宮崎あおいはいい感じにケツアゴ少女に育ってること、を特筆しておく。
しかし、岡田茉莉子様が近年の出演作で一番可愛らしかったこと、が一番の収穫かも。
本作の岡田さんは近年のお婆さん然とした役でなく、かつての娘役時代を彷彿とさせるような言い回しが随所に登場する。
ああ、あの小津や渋谷に出ていた女優さんなんだな、と、改めて感じ入った。