メルキアデス・エストラーダの三度の埋葬/トミー・リー・ジョーンズ


観る前はトミー・リー・ジョーンズによるイーストウッド崇拝映画かと思ったが、脚本家ギジェルモ・アリアガの影響色濃く「21グラム [DVD]」を、そして国境警備員の贖罪というところから先日見たキム・ギドクコースト・ガード [DVD]」を彷彿とさせた。
そのくせあくまで西部劇。
老いたレヴォン・ヘルムを侘しい南部人爺さんに起用するあたり、主人公達の愛人や妻の丁寧な描写のあたり、監督のこだわりが感じられる。
死した魂を追悼する映画かと思いきや、生き続ける魂に再生を促す映画でもあった。
トミー・リーはいわば、その橋渡しをする人間であって、「許されざる者」における役者イーストウッドの存在感の強固さとは比較の対照にならないが、本作をまとめ上げた手腕は賞賛に値する。
で、私の2006年ベスト10に食い込む可能性の大きい作品である。
久々に、どっしりとした映画を観た気がした。
私は好きです。
素敵です。