『Red Guitar and the Truth』

Red Guitar and the Truth(SHM-CD)

Red Guitar and the Truth(SHM-CD)

『BANG!』が後に控えていることはいかにも分が悪い。しかし、後にメンバーや関係者が無視しようとも、無視できないデビュー盤。
3人が揃い、早々に「イカ天」でデビューのチャンスを掴んでの初録音。
音作りに対する不満はおおよそプロデューサーのジェレミー・グリーンへの非難となっているのであろうが、このアルバムで真に重要なのは、既にブランキーの演奏やら曲想やらが完成していることだ。
結成から1年未満ということを考えると(更にメンバー間好きな音楽は共通・共有しているが、その幅の広さも考えると)多分に驚異的である。
「何々みたいな感じでやろう」ということで始めているならば、早々にこの完成度はない。
ベンジーと照井の作曲の段階で後まで繋がる所謂ブランキーの曲想、になっており、録音に入る前のヘッド・アレンジの段階で既にブランキーの演奏、になっていたのであろう。
ジェレミー・グリーンはそこに深いエコーやキーボードやらを加え、無神経気味なミックスで音圧の迫力を削いだけで、音楽の表層を触っただけでしかない。
それだけに、このアルバムの軽視は悲劇でもある。


ジャケットはリリース当時としては時代錯誤的、長いタームで見ればイカツさの象徴のようなレザー、長髪。
内ジャケットには刺青バリバリの上半身裸の写真が掲載されており、デビューシングル「不良少年のうた」のタイトルそのままのイメージで売り出そうという気迫が感じられる。
但し、悪さを売りにしたアイドル、といった感じの打ち出しで女性ファンへの売りにも答えられるようなプロダクトになっている。
初回盤はデラックスパッケージ。
上に掲載のSHM-CD再発は初回仕様どころか、通常版のブックレット封入すらない酷い代物(その仕様は一連のSHM-CD再発全てにおいて)。音は多少明快になったが(とはいえ、リマスターはされてないので過度な期待は禁物)、決定版として認められるレベルのプロダクションで出して欲しかった。