2.僕の心を取り戻すために

この曲のスピード感は半端ない。BPMとしてはもっと速い曲もあるかと思うが、演奏の緊張感とあいまって(特にライブにおいては)BJC最速ナンバーの印象がある。
崩壊ギリギリのところで演奏されるライブヴァージョンは『LIVE!!!』に収録される。
旅立ちの理由を「僕の心を取り戻すために」と言い放つ。他に歌われる情景は既に後年多用するビジュアルイメージ(何処の国かを特定しない、荒野のような土地)を想起させる。
さして大きな意味を歌ってはいないのに、この曲が魅力的なのは、本領発揮となる3人のバンドサウンドに由来していると思う。
特に達也のドラムは既に幾つかのパンクバンドで鍛え上げられてきた経験と、本人の本能的な部分に支えられ、聴く者の耳を奪い続ける。
ベンジーの高音弦の2〜3音の和音でシンコペーションするフレーズを組み立てる奏法はその後ずっと多用されるが、曲の緊張感を高める素晴らしい発明だと思う。


ベンジーのがなるような歌唱はこの曲のみならず、『C.B.Jim』あたりまで聴かれるが、この歌い方がこのアルバムの音源を何処にも再収録しないという結果を引き起こす要因の一つになったのでは?と『The Six』収録ヴァージョンを聴くと思う。